月
28
2月
2011
日本語ボランティア ―地球市民時代のご近所づきあい― (鳥取大学国際交流センター 御舘久里恵)
『外国人と対話しよう!にほんごボランティア手帖』(凡人社)を紹介します。
「『日本語ボランティア』って何するの?」と聞かれたら、それは「地球市民時代のご近所づきあい」だと言えると思います。
近所に新しい人が越してきたら、同じ町で楽しく暮らしていけるよう、いい関係を作りたいと思うでしょう。自分たちの町のことでわからないことがあれば助けてあげたいし、相手のことも知りたい。互いに子どもがいたり、共通の趣味があったりしたら、一緒に話したり様々な活動に参加したりして、少しずつ仲良くなっていくのではないでしょうか。地球規模でいろいろなところから移り住み、新しく隣人となった人とのおつきあい、それが日本語ボランティアです。
生活者として地域で暮らす外国人が、まず何に困るだろうかと考えれば、「日本語」が真っ先に思い浮かぶだろうと思います。それで「“日本語”ボランティア」という名で呼ばれ、その活動が重視されるのですが、実際には、「日本語」(の単語や文法、発音など)を、「知識」として学んでも、その人の地域での暮らしやすさにつながらないことがよくあります。なぜなら、その人の生活上の課題や希望・要望は、「日本語」そのものにあるのではないからです。
私が今までに地域の日本語教室で出会った人の中に、とても印象深い人たちがいます。一日も早く子どもの担任の先生と話せるよう毎週熱心に通う人、職場でいじめにあい、「Please respect
me.」を日本語で何と言うのかだけを知りたくて来た人、学校からのお知らせの漢字が読めず、自分の子どもだけが遠足の日にランドセルで行ってしまったと笑い話にする人、一人の大人として、手続きなどを自分でできるようになるために日本語を学ぼうとする人…。かれら(彼女/彼ら)には、伝えたい、知りたい、自立したい、という強い思いがあるのです。そしてさらに、かれらの抱える課題や問題の所在は、かれら自身にではなく、ホスト社会である日本社会の側にあるということも言えると思います。
そこで、『外国人と対話しよう!にほんごボランティア手帖』では、「対話中心の活動」を勧めています。「対話中心の活動」では、外国人参加者と日本人ボランティアが、日本語を使ってコミュニケーションをし、人間関係を築き、相互理解を深めていきます。そこで交わされるのは、架空のことばではなく、その人の生活や人生にとって意味のあることばです。外国人参加者は、このプロセスを通して、日本語を身につけるとともに、地域で生きていく力をつけていくのです。また、日本人参加者も、外国人とのコミュニケーションの方法を学んだり、外国人参加者が抱える課題から、地域を見直したりすることができます。日本語教室は、人間関係づくり、地域づくりの場なのです。
では、そのような「対話中心の活動」をする日本語ボランティアには、何が求められるのでしょうか。本書では、日本語ボランティアに大切な「基礎力」として、以下の3つを挙げ、そのポイントを紹介しています。
1.活動創造力:ネタを見つけて、生き生きとした活動を生み出すこと
2.コミュニケーション力:お互いに気持ちよくコミュニケーションすること
3.場づくり力:誰にとっても居心地のいい場をつくること
また、実際に活動をする中でぶつかるであろう疑問や悩みをQ&A方式でとりあげたページや、先輩ボランティアの実際の活動の様子をインタビュー形式で紹介したページもあり、より具体的なイメージをつかんでもらえると思います。
上に挙げた「基礎力」を身につけたボランティアが増え、さらにそれを身近な人にも伝えていくことで、外国人にも暮らしやすい地域にしたいと考える人が増えていくことでしょう。そうすれば、少しずつ社会も変わっていくのではないでしょうか。地域の日本語教室は、その一歩を踏み出す入り口なのだと思います。
興味を持ってくださった方のために、日本語ボランティアの「つぶやき」を記した「ボランティア川柳」(各ページ下に掲載)から、いくつかご紹介します。
-大人でも 友達100人 できるかも
-私より いつもウケるよ アリさんのダジャレ
-ボランティア 始めて、増えた 夫婦の会話
-何でだか 元気になるよ 活動後
-おしゃべりが いつのまにやら 課題解決
みなさんも、「地球市民時代のご近所づきあい」、始めてみませんか。
◎「対話中心の活動」を具体的に提案した活動事例集が刊行!
合わせてご活用ください。
『外国人と対話しよう! にほんごボランティア手帖 すぐに使える活動ネタ集』
・米勢治子 編著 / 吉田聖子 著 凡人社
くろしお出版による教育情報サイト
