第7回 近代の手話

現在、手話は自然言語としての認識が広く行われており、日本でも徐々に使用が広まっている。日本における手話は明治以降に本格化した。口の動きと発音を結びつけて解説した伊沢修二著『視話法』(明治34年)に代表される、いわゆる「口話法」以前に、手話の発展する様子が見られる。


近代デジタルライブラリーでは、手話を扱った書籍はほとんど見られないが、亀井晴吉著『無言伝話法』(明治19年)、吉木竹次郎著『手話法』(明治20年)、吉田義夫著『手話術』(明治25年)、高岸豊太郎著『体話法』(明治21年)等を挙げることができる。これらは全て明治20年に前後して発行されており、著者独自の体系を構築しているものが多い。


『手話法』では、「稠人ノ中ニ密語ヲ要スル時」等にも用いることが出来るものとして考案され、「郷里ニ帰リ十数回ノ改良ヲ加ヘ今ヤ漸ク簡易ニシテ且ツ一切ノ音声ヲ明表シ得サル者無キヲ得タリ於是乎此書ヲ著ハシ名ツケテ手話法ト云フ」等として、完成に向けて工夫を重ねた様子が記される。明治期は試行錯誤が続く時代であった。


『手話術』『手話法』『無言伝話法』においては、指で作る形に日本語の五十音を相当させている一方、『体話法』では指に留まらず腕全体を用いた所作が示されている。この時期に手話の諸体系が勃興していることを考えると、現在の手話が洗練されてきている分、その普及率にはもう少し伸びを期待したいところである。

(2010.11.17 更新)